通常、C言語等では整数型で扱える数値を超える値の加減乗除はそのままでは計算不可能です。
今回は、データ型を超える整数の加減乗除の方法についてです。
0. 前提条件
- Linux Mint 14 Nadia (64bit) での作業を想定。
- g++ (Ubuntu/Linaro 4.7.2-2ubuntu1) 4.7.2
また、当方の環境で扱える int 型、 long 型の範囲は以下のとおり。
int
: -2,147,483,648 〜 2,147,483,647long
: -9,223,372,036,854,775,808 〜 9,223,372,036,854,775,807
1. 多桁計算について
加算・減算・乗算・除算ともに数値を指定の桁数で区切って配列として扱って計算する。
配列のサイズは使用環境に合わせて設定するが、当方の環境の場合、 int
型は -2147483648 〜 2147483647 が扱える範囲なので、配列要素1つで8桁扱うようにする。
あとは、筆算をするように計算していけばよい。
イメージは以下の図のとおり。
また、配列1つで扱える数字を「ショート」、配列2つ以上で扱う数字を「ロング」ということにしている。
- 加算・・・下位の配列から加算していき、指定の桁数をあふれたらその分を除去し1つ上位に加算していく。
- 減算・・・下位の配列から減算していき、結果が負になったら上位から1借りて加算する。
- 乗算・・・加算同様、下位の配列から乗算していき、指定の桁数をあふれたらその分を除去し1つ上位に加算していく。
- 除算・・・上位の配列から除算していき、余りが発生したらその分を1つ下位へ加算していく。
ちなみに、乗算が何万桁以上になる場合は、この方法ではなく「Karatsuba法」や「Toom-Cook法」や「FFT(高速フーリエ変換)」を使うのが一般的なようだ。
2. C++ ソース作成
例として、以下のようにソースを作成した。
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3. C++ ソースコンパイル
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何も出力されなければ成功です。
4. 実行
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40桁同士の加減算、そして、40桁と小さな数値の乗除算で結果が多桁になる計算ができました。
今回は、多桁計算の基本的な考え方でした。
応用して円周率を計算してみたりできますね。
※ちなみに最近の当方の C++ アルゴリズムについての記事は、古い C によるアルゴリズムに関する書物を参考に C++ に移植した形態となっています。
以上。