ICRS からの座標変換について!
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ICRS(International Celestial Reference System; 国際天文基準座標系) の座標から GCRS(Geocentric Celestial Reference System; 地球重心天文座標系) や ITRS(International Terrestrial Reference System; 国際地球基準座標系) 等に変換する流れについての個人的備忘録です。
当方、天文計算については長けていないので、誤りもあるかもしれません。
0. 前提条件
- IAU SOFA 提供の[ライブラリ群](http://www.iausofa.org/2016_0503_C/CompleteList.html ““)を大いに参考にしている。
- ITRS 座標系より後ろの部分(local apparent 以降)については、今回はあまり注目していない。
1. 座標変換の流れ
(太字が座標系で、間の【】で括った項目が変換に適用するもの)
- ICRS(International Celestial Reference System; 国際天文基準座標系) \(\alpha, \delta, \dot{\alpha}, \dot{\delta}, \pi, \dot{r}\)
- 1998年から IAU(International Astronomical Union; 国際天文学連合) により採用された現行の標準天球座標系
- 【space motion(天体固有運動)の適用】
- BCRS(Barycentric Celestial Reference System; 太陽系重心天文座標系) \(\alpha, \delta, r\)
- 太陽系諸天体の運動を考える場合に使用する座標系
- 【parallax(視差)の適用】
- astrometric \([\alpha, \delta]\)
- BCRS に parallax を適用した座標系(としか説明のしようがない)
- 【light deflection(光の屈折), aberration(光行差)の適用】
- GCRS(Geocentric Celestial Reference System; 地球重心天文座標系)
- 地球重心の周りの天体の運動を考える場合に使用する座標系
- 【frame bias(バイアス; GCRS と J2000.0 の極のズレ), precession(CIO based)(歳差), nutation(CIO based)(章動)の適用】
- CIRS(Celestial Intermediate Reference System; 瞬時の真座標系) \([\alpha, \delta]\)
- CIP(Celestial Intermediate Pole; 瞬時の極軸)とCIO(Celestial Intermediate Origin; 非回転原点)で定義された座標系
- 【Earth rotation angle(地球回転角)の適用】
- TIRS(Terrestrial Intermediate Reference System; 瞬時の地球座標系) \([\lambda, \phi]\)
- CIRS に ERA(地球回転角)を考慮した座標系(としか説明のしようがない)
- 【polar motion(極運動)の適用】
- ITRS(International Terrestrial Reference System; 国際地球基準座標系) \([\lambda, \phi]\)
- 地球重心を原点とし、地球の形状に対して回転しない座標系。日常用いる経度や緯度(世界測地系)の基準となっている。
- 【longitude の適用】
- local apparent \([h, \delta]\)
- 【diurnal aberration (and parallax) の適用】
- topocentric \([h, \delta]\)
- 【latitude の適用】
- topocentric \([az, alt]\)
- 【refraction の適用】
- observed \([az, alt]\)
GCRS 〜 TIRS の変換の部分(CIO ベース)は、以下のように(春分点ベースで)置き換えることも可能。
- GCRS(Geocentric Celestial Reference System; 地球重心天文座標系)
- 【frame bias(バイアス; GCRS と J2000.0 の極のズレ) の適用】
- J2000.0 の平均座標系 \([\alpha, \delta]\)
- J2000.0 における平均赤道 (黄道) と平均春分点を基準とした座標系
- 【precession(equinox based)(歳差)の適用】
- 瞬時の平均座標系 \([\alpha, \delta]\)
- その時刻における平均赤道 (黄道) と平均春分点を基準とした座標系
- 【nutation(equinox based)(章動)の適用】
- 瞬時の真座標系 \([\alpha, \delta]\)
- その時刻における真赤道と真春分点を基準とした座標系
- 【Greenwich apparent sidereal time(グリニッジ視恒星時)の適用】
- TIRS(Terrestrial Intermediate Reference System; 瞬時の地球座標系) \([\lambda, \phi]\)
2. 認識、疑問点
- precession, nutation が「CIO ベース」と「春分点ベース」となっているが、実質は同じものという認識。
(参考にした GCRS から CIRS への変換処理のソースコードでは、precession, nutation の計算が「春分点ベース」となっているので) - 春分点ベースの「瞬時の真座標系」は CIRS とは別物?
- 惑星の視赤経・視赤緯・視黄経・視黄緯を求める場合、それは ITRS 座標のこと?
3. 参考サイト
- Standards of Fundamental Astronomy - SOFA Library Issue 2016-05-03 for ANSI C
- 暦象年表の改訂について(PDF 1.7MB)
当方、太陽や月、その他太陽系惑星の視位置を計算する際に利用するのでは?と記録しておいた次第です。
以上。
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