Debian 9 (Stretch) - MariaDB 10.3 サーバ構築(ソースビルド)!

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Debian GNU/Linux 9 (Stretch) 上に DB サーバ MariaDB(10.3系)を構築する方法についての記録です。

0. 前提条件

  • Debian GNU/Linux 9 (Stretch) での作業を想定。
  • 接続元のマシンは LMDE 3 (Linux Mint Debian Edition 3; 64bit) を想定。
  • インストールする MariaDB は、当記事執筆(≠公開)時点で最新の 10.3.9 とする。
  • MariaDB とは言っても中身は MySQL が元になっているので、各所で “mysql” のキーワードが出現する。
  • データディレクトリは “/var/lib/mysql” ディレクトリ配下とする。
  • root ユーザでの作業を想定。

1. sources.list ファイルの編集

今回は MariaDB をソースをビルドしてインストールするので、本来は “sources.list” の編集は必要ないが、 MariaDB のビルドに依存するパッケージをインストールすために使用するので、編集する。
/etc/apt/sources.list に直接記述してもよいが、今回は /etc/apt/sources.list.d/mariadb.list に新規作成する。
記述する内容は「こちら(repository configuration tool)」で確認可能。

File: /etc/apt/sources.list.d/mariadb.list

1
2
3
4
# MariaDB 10.3 repository list - created 2018-09-19 16:23 UTC
# http://downloads.mariadb.org/mariadb/repositories/
deb [arch=amd64,i386,ppc64el] http://ftp.yz.yamagata-u.ac.jp/pub/dbms/mariadb/repo/10.3/debian stretch main
deb-src http://ftp.yz.yamagata-u.ac.jp/pub/dbms/mariadb/repo/10.3/debian stretch main

“sources.list” を使用しない方法等については「こちら」を参照。

2. パッケージリストの更新

“sources.list” を編集したので、パッケージリストを更新する。

# apt -y update
      :
===< 中略 >===
      :

エラー:2 http://ftp.yz.yamagata-u.ac.jp/pub/dbms/mariadb/repo/10.3/debian stretch InRelease
  公開鍵を利用できないため、以下の署名は検証できませんでした: NO_PUBKEY F1656F24C74CD1D8
無視:8 https://packages.groonga.org/debian stretch InRelease
ヒット:9 https://packages.groonga.org/debian stretch Release
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
W: GPG エラー: http://ftp.yz.yamagata-u.ac.jp/pub/dbms/mariadb/repo/10.3/debian stretch InRelease: 公開鍵を利用できないため、以下の署名は検証できませんでした: NO_PUBKEY F1656F24C74CD1D8
E: リポジトリ http://ftp.yz.yamagata-u.ac.jp/pub/dbms/mariadb/repo/10.3/debian stretch InRelease は署名されていません。
N: このようなリポジトリから更新を安全に行うことができないので、デフォルトでは更新が無効になっています。
N: リポジトリの作成とユーザ設定の詳細は、apt-secure(8) man ページを参照してください。

上記のように、 GPG 公開鍵に関するエラーが出力される場合は、以下のようにした後に再実行する。

# apt-key adv --keyserver keyserver.ubuntu.com --recv-keys F1656F24C74CD1D8

3. 依存パッケージのインストール

# apt build-dep mariadb-server

または、「こちら」を参考に、ビルドに必要なパッケージをインストールしてもよい。(但し、インストール漏れに注意)

4. sources.list ファイルの削除

1 で作成した MariaDB 用 sources.list ファイル “/etc/apt/sources.list.d/mariadb.list” はもう不要なので削除しておく。(”/etc/apt/sources.list” を直接編集したのなら、 MariaDB に関する記述を削除する)

# rm -f /etc/apt/sources.list.d/mariadb.list

5. アーカイブの取得

こちら」から MariaDB の最新 Stable 版をダウンロードし、適当なディレクトリに配置する。(今回、当方はダウンロードした “mariadb-10.3.9.tar.gz” を “/usr/local/src” ディレクトリ配下に配置した)

そして、展開する。

# cd /usr/local/src
# tar zxvf mariadb-10.3.9.tar.gz

6. ソースのビルド&インストール

先ほど展開したディレクトリと同じ階層にビルド用のディレクトリを作成する。(先ほど展開したディレクトリ内ではない)

# mkdir build-mariadb

次に、ビルド用ディレクトリ内へ移動して cmake する。(各種ビルドオプションは当方の例)

# cd build-mariadb
# cmake ../mariadb-10.3.9 -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=/usr/local/mysql \
-DMYSQL_DATADIR=/var/lib/mysql \
-DMYSQL_UNIX_ADDR=/var/run/mysqld/mysqld.sock \
-DENABLED_LOCAL_INFILE=1 \
-DDEFAULT_CHARSET=utf8_mb4 \
-DDEFAULT_COLLATION=utf8_general_ci \
-DWITH_EXTRA_CHARSETS=all \
-DWITH_INNOBASE_STORAGE_ENGINE=1

そして、 make 後、インストールする。

# make -j$(grep '^processor' /proc/cpuinfo | wc -l)
# make install

7. ユーザ・グループ作成

MySQL 用のユーザとグループを作成する。

# groupadd mysql
# useradd -r -g mysql mysql

8. データディレクトリ作成

データディレクトリが無ければ作成し、所有者・グループを設定しておく。

# mkdir /var/lib/mysql
# chown -R mysql. /var/lib/mysql

9. ログディレクトリ作成

ログ用ディレクトリを作成し、所有者・グループを設定しておく。

# mkdir /var/log/mysql
# chown -R mysql. /var/log/mysql/

10. ソケット・PIDディレクトリ作成

ソケット・プロセスID用ディレクトリの所有者・グループを設定する。

# mkdir /var/run/mysqld
# chown -R mysql. /var/run/mysqld

11. 設定ファイルの編集

用意されている設定ファイルの中から自分の環境に近いものを /etc/my.cnf として複製し、更に自分の環境に合うよう編集する。

# cp /usr/local/mysql/support-files/my-huge.cnf /etc/my.cnf

【注意】
/etc/my.cnf より後に /etc/mysql/my.cnf が読み込まれる(/etc/my.cnf の内容よりも /etc/mysql/my.cnf の内容が優先される)ので、 /etc/my.cnf のみを使用したければ /etc/mysql/my.cnf を削除するか、(拡張子が .cnf で終わらないよう)リネームするなどする。
/etc/my.cnf を作成せず、最初から /etc/mysql/my.cnf を編集する方法でも良いだろう。

12. 初期 DB の生成

# cd /usr/local/mysql
# scripts/mysql_install_db --user=mysql --basedir=/usr/local/mysql --datadir=/var/lib/mysql --defaults-file=/etc/my.cnf

13. 起動スクリプトの作成

# cp support-files/mysql.server /etc/init.d/mysqld
# chmod +x /etc/init.d/mysqld

14. PID ディレクトリの自動生成

前項の方法で起動スクリプトを用意した場合、 /var/run(or /run) 配下のディレクトリは自動で生成してくれないので、自動で生成するよう、 /usr/lib/tmpfiles.d/var.conf に以下の1行を追加する。(/var/run(or /run) ディレクトリは tmpfs を使用しているため、 OS 再起動後には消滅する。通常は、起動スクリプト内で生成するよう設定されていることが多いが、今回使用したスクリプト内では設定されていなかった。)
(当方ブログ過去記事「Linux - マシン起動時にディレクトリ・ファイルを自動作成!」も参照)

File: /usr/lib/tmpfiles.d/var.conf

1
d /var/run/mysqld 0755 mysql root -

もしくは、 mysqld_save コマンド実行直前に以下のような記述を追加してもよいだろう。(当方、未確認)

File: /etc/init.d/mysqld

1
test -e /var/run/mysqld || install -m 755 -o mysql -g root -d /var/run/mysqld

15. 環境変数 PATH の設定

mysql コマンドへのパスを設定するために /etc/profile の最終行に以下の記述を追加する。

File: /etc/profile

1
2
PATH=/usr/local/mysql/bin:$PATH
export PATH

そして、即時有効化。(マシン再起動でもよい)

# source /etc/profile

16. 起動・再起動・ステータス確認・停止のテスト

起動・再起動・ステータス確認・停止ができるか確認する。

# /etc/init.d/mysqld start
# /etc/init.d/mysqld restart
# /etc/init.d/mysqld status
# /etc/init.d/mysqld stop

もちろん、”service” コマンドでも起動・再起動・ステータス確認・停止ができるはずです。

また、 init サービスではなく systemd として使用したければ、 apt install systemd-sysv を実行して、マシンをリブートする。(systemd-sysv インストール済みなら、リブート不要かも? systemctl daemon-reload のみでよいかも?)

# systemctl start mysqld
# systemctl restart mysqld
# systemctl status mysqld
# systemctl stop mysqld

17. セキュリティ設定

MariaDB サーバが起動していることを確認し、root のバスワード設定、テストDB削除等を行う。
(root のパスワードのみ設定して、後はデフォルト(エンター押下)。但し、 root によるリモート接続を行いたければ Disallow root login remotely? で n 応答)

# cd /usr/local/mysql/bin
# ./mysql_secure_installation

18. 動作確認

MariaDB サーバにログインしてみる。

# mysql -u root -p
Enter password:        # <= root パスワードで応答
Welcome to the MariaDB monitor.  Commands end with ; or \g.
Your MariaDB connection id is 18
Server version: 10.3.9-MariaDB-log Source distribution

Copyright (c) 2000, 2018, Oracle, MariaDB Corporation Ab and others.

Type 'help;' or '\h' for help. Type '\c' to clear the current input statement.

root@localhost:(none) 17:21:08> show databases;
+--------------------+
| Database           |
+--------------------+
| information_schema |
| mysql              |
| performance_schema |
+--------------------+
3 rows in set (0.002 sec)

root@localhost:(none) 17:21:11> exit
Bye
  • 上記の(やや複雑な)プロンプトは当方の設定によるもの。

19. 自動起動の設定

OS 起動時に自動で起動するように設定するには次のようにする。(以下は systemd-sysv で設定する場合)

# systemctl is-enabled mysqld
mysqld.service is not a native service, redirecting to systemd-sysv-install.
Executing: /lib/systemd/systemd-sysv-install is-enabled mysqld
disabled

# systemctl enable mysqld
mysqld.service is not a native service, redirecting to systemd-sysv-install.
Executing: /lib/systemd/systemd-sysv-install enable mysqld

# systemctl is-enabled mysqld
mysqld.service is not a native service, redirecting to systemd-sysv-install.
Executing: /lib/systemd/systemd-sysv-install is-enabled mysqld
enabled

20. ファイアウォール(ufw)の設定

TCP ポート 3306 を開放する。(リモートアクセスに必要)

# ufw allow 3306/tcp
Rule added

# ufw status
    :
3306/tcp                   ALLOW       Anywhere
    :

以上。





 

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